民法Q137:詐害行為取消し権ポイント

詐害行為取消し権ポイント


1.成立するには

 [1]責任財産が減少した債権者の債権が満足されなくなったという客観的要件

 [2]詐害意思(損害を与える意欲や害意などは必要なく不足を生じることを知っていれば十分)という主観的要件

が必要とされる


2.受益者又は転得者が善の場合は行使できないが、受益者が善でも転得者が悪なら行使できる


3.行使した債権者が優先弁済を受けるのではなく総債権者は自己の債権額に応じて平等の割合で弁済を請求することになる(民法425条)


4.詐害行為以前に成立した債権を詐害行為後に譲り受けたものであっても行使できる


5.【原則】被担保債権は金銭債権でなければならない※取消権行使時点で金銭債権に転化していることが必要
  【例外】特定物引渡請求権の目的物を債務者が処分することで債務者が無資力となった場合にはその処分行為は詐害行為となりうる(S.36.7.19)


6.【原則】担保権の設定 → 詐害行為
  【例外】生計費および子供の養育費に充てるためになした譲渡担保による所有権移転行為 → 詐害行為ならない(S42.11.9)


7.債権者が価格賠償金を受領した場合、これを分配するための手続きを明確に定めた規定がない以上、他の債権者に価格賠償金を分配する義務を負わない(S37.10.9)


8.必ず裁判上で行使しなければならない。


9.被保全債権は詐害行為の前に成立していなければならない※代位権は先後は問われないことに注意


10.無資力要件 → 常に必要


11.債権者は自己の名で自己の権利を行使


12.債務者が資力を回復した場合は行使できない


13.目的物が金銭の場合には直接自己に引き渡すことを請求できる※所有権移転登記を求めることはできない

14.人的担保(連帯債務など)がついていても詐害行為は成立する